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【ケニア】2024年活動報告|ハンドウ中高等学校 創立27年 貧困地域の子供たちの支えに

ケニアは東アフリカで最も経済発展した国ですが、一方で貧困格差やエイズ感染といった深刻な社会問題を抱えています。WFWP日本はルガリ地域マラクシ村が資金不足で建設を中断していたハンドウ中高等学校を引き継ぎ、1998年に開校。現在は、政府公認の公立学校として運営を支援しています。

ハンドウ中高校の視察

ハンドウ中高校は、2023年のルガリ地域における卒業試験で3番目の成績を修めました。教育無償化が導入されているケニアですが、校長は公的補助だけでは運営費を賄いきれないと嘆いていました。

派遣員が朝礼で「この学校が27年を経て、立派な学校に成長していることが嬉しい。何事も継続が大切」と話すと、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。男子生徒にはボールペンを、女子生徒には布ナプキン、スタッフにはボールペンやハンカチをプレゼントしました。

左から校長、派遣員、副校長。23年に就任したシミユ副校長は生物・ 化学の教師で5人の子供の母親です。
朝礼の様子

学校では、施設の修復や男子寮のトイレ新設、浄化槽の設置工事をしています。2020年から始まった2階建て新校舎建設もWFWPアメリカの支援により、進展しています。

理数系教育に力を入れるケニア

工業立国を目指すケニアでは、理数系教育に力を入れています。WFWP日本の支援による二つの実験室の他に、国際機関(世界銀行)の支援による実験室があります。老朽化していますが、4年生(約140人)にとって三つの実験室があることは有難いこと。生徒たちは真剣な顔つきで実験に取り組んでいました。

給食を提供

学校の生徒数は、男子314人女子324人合計638人です。ルガリは貧困地域のため子供たちの栄養状態は良くなく、学業に集中できるよう給食を提供しています。水曜日の給食は、トウモロコシ粉を練り上げて作る「ウガリ」とケールの炒め物「スクマ」。他の曜日は「ギゼリ」というケニアの豆とトウモロコシの煮物です。生徒たちは配膳から食器洗いまで自分たちで行います。

学校が養子の生活を変えた

WFWPケニアの会員であるジャシンタさんは、実子のほかに貧困家庭の子供を養子に迎え入れています。当初、生活態度が良くなかった男の子は、ジャシンタさんが学費や寮費を負担して学校に通わせると大きく変化。彼は「この学校はとても良い学校だ」と言い、卒業後は警察官になるためにポリスアカデミーに進学し、警察官としての道を歩み始めました。「教育は人生を変える」ことを実感した嬉しい出来事でした。

校舎
授業の様子

エイズ予防・人格教育を実施

ハンドウ中高等学校では、エイズ予防・人格教育を継続しています。生徒たちは、自分や相手の将来を大切に考えるようになり、長期休暇中に予期せず妊娠する女子生徒の数が激減しました。

今回もWFWPケニアのアンさんが講師となり、エイズ予防・人格教育の授業を行いました。ホールに入りきれないほどたくさんの生徒が参加し、「幸せな人生を送るためにも自分を大切にしてほしい」と話しました。講義後のグループ・ディスカッションは激しい雨音のため中止となり、代わりに派遣員と一緒に体を使ったエクササイズを楽しみました。

里親と里子のオンライン交流会を実施

コンピューター室で里子たちと日本の里親とのオンライン交流会。ネット環境が脆弱でWi-Fiがよく切れましたが、好きな科目や将来の夢など里親の質問に里子たちが答え、双方にとって意義ある楽しい時間となりました。

里子たちにタオルをプレゼント

里子訪問

シミユ副校長とルガリ地域の女性チーフが同行して里子宅を訪問。早朝3時半から8kmの道のりを通学する女子生徒、経済破綻して両親が逃げ、8人の兄弟とともに祖母に養育されている生徒など。ハンドウ学校で16年間、教鞭を執ってきたシミユ副校長は、生徒の貧しい家庭環境に心を痛めWFWPの細やかな支援に感謝していました。
最も悲惨だったのは、母親が亡くなり、父親の暴力や女性問題で家が荒れ、ベッドもマットもなく地べたに寝ていた女子生徒のこと。来年から入寮できるよう父親を説得し、寮生活のために必要な生活用品を支援することにしました。里子たちが遠い道のりを通学するのは、寮生活に必要な物を準備できないほどの貧困だったのです。
10名の里子たちを訪問して、彼らの余りもの貧困に心が痛むと同時に、WFWPの支援が彼らの支えとなっていることを実感しました。

台所には鍋一つのみ
机や椅子もない場所で地べたで寝ている

前副校長と感激の再会

2024年3月に退職した前副校長のシヤンサさんは、長年学校と生徒たちのために尽力してくれた正義感あふれる立派な先生。WFWPケニアのメンバーと一緒に彼女を訪問すると、大変喜んでくれました。ルガリ地域の困っている女性や生徒たちをどのようにしたら助けられるか、家庭内暴力や虐待から逃れられる“駆け込み寺”も話題となり、真剣に話し合う時間となりました。

後日、シサンヤさんから、「WFWP派遣員の献身的な支援に心から感謝しています」というメッセージが届きました。

ケニアの子供たちのため、これからもWFWPは支援を継続してまいります。
今後とも皆様のご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

ケニアでの活動

ハンドウ中高等学校建設・運営支援

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