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2025年 国際協力青年ボランティア ≪ザンビア隊≫

2025年8月23日から9月4日まで、次世代のリーダーを育てることを目的に、国際協力青年ボランティア≪ザンビア隊≫を実施。全国から11名のユースがザンビアにて活動し、国際協力活動を通して「地球は一つの家族」を体験しました。

アフリカの大地で感動体験

アフリカ南部に位置するザンビア共和国は、豊かな自然と人々の温かさにあふれる国です。首都ルサカには近代的な建物が並ぶ一方、農村部では今も電気や水道の整備が十分ではなく、子供の慢性的な栄養不良が深刻な問題となっています。

1994年より世界平和女性連合(WFWP)は5歳以下の栄養不良児を対象にフードプロジェクト(栄養指導教室)を実施し、これまでに1万3千人を超える子供たちが標準体重に達しました。また、2010年より、栄養指導教室に通う母親の経済的自立を助ける洋裁教室を実施しています。

志を胸に―事前研修からザンビアへ

出発前の2日間、事前研修会を実施。WFWPの理念や国際協力について学び、30年以上にわたり活動を続けるザンビア派遣員とも交流しました。

かつて「豚のエサ」とされていた大豆に着目。ザンビアの子供たちの命を救うため、長い年月をかけて大豆を栄養食品として啓蒙してきた派遣員に参加者は深い感銘を受けました。ユースたちは派遣員の熱い思いを胸にアフリカの大地へと旅立ちました。

栄養士の資格を持つザンビア派遣員
成田空港から出発
栄養士の資格を持つザンビア派遣員

出発前の2日間、事前研修会を実施。WFWPの理念や国際協力について学び、30年以上にわたり活動を続けるザンビア派遣員とも交流しました。

かつて「豚のエサ」とされていた大豆に着目。ザンビアの子供たちの命を救うため、長い年月をかけて大豆を栄養食品として啓蒙してきた派遣員に参加者は深い感銘を受けました。ユースたちは派遣員の熱い思いを胸にアフリカの大地へと旅立ちました。

成田空港から出発

表敬訪問/元副大統領ウィナ氏

「若者は未来の平和をつくる大使です。実際に肌で体験し、ザンビアやアフリカの現実を世界に伝えてください。」(イノンゲ・ウィナ氏)

ザンビア元副大統領であり、ジェンダー開発大臣としても活躍されたウィナ氏は、訪問した参加者たちを温かく迎え入れ、このように語りました。そして、「平和をもたらす力は女性の中にある」と強調しました。

「女性は自分の子供が苦しむ姿を望みません。だからこそ、女性の声が政治や社会の意思決定の場に届くことが大切なのです。将来、法律や制度をつくるために学び、女性としての誇りを持ち、子供たちや女性たち、男性たちのためにも声を上げてください」 

参加者はその言葉を胸に刻み、これから始まる活動への決意を新たにしました。

命を守る栄養指導の現場―フードプロジェクト

ガーデンクリニックとマンデブークリニックの2か所で、フードプロジェクトの活動を行いました。

子供たちの体重測定や母子手帳への記録、大豆粉と卵の配布、大豆粉おかゆの調理などを体験。現地の母親たちが理解しやすいように、日本のユースが事前に作成したチャートを使って栄養指導も行いました。

体重測定
大豆粉と卵の配布

両地域で子供たちの体重は増加傾向にありました。しかし、1日1食しか食べることができない親子や、妹のために3時間歩いて来た少女などもいて、フードプロジェクトの必要性を痛感しました。

おかゆ作り

洋裁教室で母親の経済的自立支援―ファッション・ショー

「今では自分でデザインも裁断もできます。自分で稼ぐ力を与えてくれたWFWPに心から感謝しています」

フードプロジェクトを卒業した母親たちが笑顔でこう答えると、一同は胸を打たれました。また、ザンビア支援を行う連合会から預かった洋裁道具などが寄贈され、大変喜んでいただきました。

最後は、ファッション・ショーを開催。母親たちがチテンゲ布(アフリカのプリント布)で仕立てたドレスを身にまとい颯爽(さっそう)と歩くと歓声に包まれ、会場が大いに盛り上がりました。

大豆粉が紡ぐ命の物語―家庭訪問

卒業生の一人であるノラさんの家庭を訪問しました。1日5時間しか電気が通らず、水道のない環境で生活しています。かつて1歳で6.7kgしかなかった孫が、フードプロジェクトに参加したことで元気に走り回るようになり、「大豆粉の奇跡だ」と膝をついて感謝しました。一同は改めてその意義を深く感じました。

シャロンさんも、フードプロジェクトにより子供が平均体重に達する恩恵を受けました。今は栄養指導教室や洋裁教室のボランティアスタッフとして支えてくれており、厳しい経済状況にも関わらず、訪問者一行にご馳走を準備して温かく迎えてくれました。

国境を越えて―姉妹結縁と文化交流

文化交流会は両国の国歌斉唱に始まり、次いで日本から「ふるさと」と「炭坑節」、ザンビアから伝統歌が披露されると、会場は一体となり踊り出しました。

続くトークセッションでは、日常生活における伝統や価値観について理解を深め合い、また10年後に自国にどんな変化を望むかなどを熱心に語り合って、お互いの夢を共有しました。

最大のハイライトは、WFWPが推進する姉妹結縁式のセレモニー。この運動は、国籍や民族、宗教の違いを超えて平和のために、女性が姉妹の関係を結ぶことを目的にしています。ザンビアと日本のユースが単なる友人ではなく「姉妹」としての絆を結びました。

フィナーレに「We are the world」を互いに手を取って歌い上げ、姉妹の絆こそ平和をつくる礎になることを実感しました。

すべての活動を終え、ザンビアの雄大な自然を満喫。「悩みが小さく感じられるほど解放され、癒された」という声が多く寄せられました。

参加者の声/現地体験が意識を変える

「私にとって『特別な国』に(21歳・大学生)

1日に1回しか食事がとれないような厳しい環境なのに、子供たちはみんな元気いっぱい。将来の夢をキラキラした瞳で話してくれました。「何かをしてあげたい」と思って訪れたのに、私のほうが子供たちからたくさんの力をもらいました。わずか10日間の滞在でしたが、ザンビアでの経験や出会いは大きな宝物になりました。

「将来の方向性が明確に」(22歳・大学生)

ザンビア隊のユースたちと定期的にオンライン会議をして、関心を持ち続けたい。そして、「栄養バランスガイド」や「日本から洋裁を依頼し、働くところを増やす」というアイデアを含め、具体化につなげたいです。専攻の服飾を生かして世界のために貢献したいーという思いが、より明確になりました。

「持続可能な国際協力とは」(25歳・社会人)

小さな体格の子供に接し、栄養不良の深刻さを痛感。また母親たちへは、「一方的な支援ではなく、自立を促す継続可能な仕組みづくり」が重要だと学びました。貧富の格差を肌で感じることで、国際協力とは単に物資支援などではなく、「現地の課題を共有し、共に解決を考える」営みだと理解することができました。

WFWPは今後も、現地の女性や子供たちの支援活動、そして未来を担う若者の育成に力を注いでまいります。これからも温かいご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。

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