2024年より、読書推進に特化したプロジェクトを開始。同年5月には、派遣員2名とユースのボランティア1名がソロモン諸島で活動しました。
本に親しむ習慣がない
ソロモン諸島では、国内にある書店はキリスト教書店1店舗のみ。首都ホニアラ市内の雑貨屋でわずかに本を扱うようになりましたが、本を読む習慣や文化が根付いていません。
学校の先生方も聖書や教科書は読みますが、それ以外の本を読んだことのない人が大半です。市の図書館の本棚には本が半分ほどしか並んでいません。
WFWPは過去に度々市内の学校に本を寄贈してきましたが、子供たちは最初こそ挿絵に興味を示すものの読書習慣には結びつきませんでした。
その理由は、
- 英語を読むことに慣れていない(日常の使用言語はピジン英語)
- 情報が脆弱なことから、本に書かれていることを想像しにくい
- 本が面白いものという体験がない
ことなどが挙げられます。
「本の虫」を育てよう!
本を寄贈しただけでは読書習慣に結びつかなかったことから、まず本好きな子供「本の虫」を育てることを目標にしました。
園児への読み聞かせ活動を続けながら、並行して先生方への啓蒙にも力を入れました。
またオーストラリアWFWPの協力を得て、道徳的で質の高い良書を寄贈してもらっています。
その結果、毎日の読み聞かせを楽しみにする子供が増え、読み書きの得意な子も多くなりました。子供たちが多くの良書に出合い、創造力や道徳心を育むことができるよう努めていきます。

読み聞かせ推進
こうした成功事例をもとに、St.Jhon Schoolの年長クラスを対象に読み聞かせを実施しました。
『がまくんとかえるくん』、レオ・レオニの『じぶんだけのいろ』を読んであげると、子供たちは興味津々。ソロモンにはない四季や、見たことのない動物の話にも「知ってる!」と元気に反応してくれました。
日本の手遊び歌「おいで おいでパンダ」を紹介すると園児や先生に喜ばれ、アンコール。「卒園式で歌いたい」と評判でした。

スタッフへの啓蒙
現地WFWPのメンバーに、読み聞かせの重要性と効果についてプレゼンテーションを行いました。資料や体験談を通して丁寧に説明すると、「読み聞かせの大切さがわかった」と喜ばれました。
参加者の中には早速、帰宅して、妊娠中の娘に胎教として絵本の読み聞かせをした人もいます。
また理事会やミーティングで、具体的な行動計画を立案しました。
ソロモン諸島は、学校不足や他国からの情報が極端に少ないため、読み聞かせの活動は非常に価値があると認識されています。

いじめ防止プログラム 教材制作にユースも協力
提供した道徳教育教材が文字ばかりで、子供たちが見たことのない寓話の中の動物が登場するため、理解の手助けになるように挿絵がほしいと相談を受けました。この要望に、神奈川第3連合会のユースが協力。挿絵を入れた2種類の絵本を制作し、各50冊ずつ合計100冊を学校に寄贈しました。


挿絵の入った道徳教材を使って、高学年と低学年がペアになり、物語を読んで話し合う活動が朝の時間に校庭で行われています。これは、「いじめ防止プログラム」の一環として取り組まれています。思いやりと信頼を育む大切な時間です。
先生方が我を忘れて挿絵に見入る姿は、微笑ましく感じられました。
主任の先生は、「このような絵本はソロモンにはない」と感嘆。多くの子供たちが手にすることができるように普及方法を検討したいと言います。


お知らせ // 「ニューホープアカデミー教育支援」は、学校がソロモン教育省の登録校となり、国からの補助金を得て独立運営が可能となりました。そのため、2022年をもってWFWP日本の支援は終了しました。
GWPNが発足
2024年5月25日、ガダルカナル女性協議会のミーティングルームで、GWPN Launch Meetingが開催され、約30名が参加しました。

WFWPソロモンのロンガニマラ会長による挨拶、オーストラリア会長のビデオ・メッセージ、派遣員によるゲスト・スピーチに続き、ソロモン国内で活躍する5名の女性を表彰。受賞者は誇らしげに賞状と記念品を受け取りました。
近年、ソロモンでは女性の活躍がめざましく、WFWPでは若い女性のエンパワーメントに積極的に取り組んでいます。

表彰を受ける女性たち
左から、
ガダルカナル州女性協議会会長 Alice Hou氏
ソロモン諸島国立病院産婦人科医長Leeannne Panisi 氏YWCA理事・書記長 Jocelyn Lai 氏、
WFWP 初代会長 Nellie Masuaku氏
ソロモン諸島障害者協議会 Melvina Voua氏
ソロモン諸島の子供たちのため、これからもWFWPは支援を継続してまいります。
今後とも皆様のご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。